広島市中区、本通りの中心にその店はあります。
1967年の創業以来、広島の食文化の向上の一端を担ってきました。
それは「アンデルセン」と言う名のお店です。
今でこそ「パン屋」さんとして全国的にも有名になってきたアンデルセンさんですが、広島にあるのは、パンを中心とした総合食品店です。
パン・洋菓子・ハム・チーズ・ワインなど洋食材を中心とした品揃えと、惣菜、雑貨、贈り物などの品々、それに本通り店ではレストランフロアもあります。
惣菜は、洋物が中心ですが、餃子のタネや皮なんかもあったりして、そのどれもが上品な美味しさと、家庭的な柔らか味のある「買って食べて嬉しいもの」ばかりです。
モーツアルトとマリオという記事でも少し触れましたが、アンデルセンが広島の食文化向上に対して果たした役割は大きいですよね。
いち地方都市であり、大戦後の戦乱の余波がまだ残っていた昭和三十~五十年代に、広島の食文化はまだまだ田舎町のそれでした。モーツアルトもそうですし、同じ本通りだと長崎屋や衆望なんかもそうですが、こういった店が、ある近いエリア、つまり紙屋町から本通りを通って、八丁堀や並木通りの辺りの間に集合的にできていく中で、徐々に、食文化が向上したわけです。
もちろん、広島に無数に点在するお好み焼き屋さんや、ちからやむさしといった大衆店、郷土料理を牽引した酔心なんかも食文化の担い手としては非常に重要ですし、まぁ実際うまいのでよく行きますが、「向上させた」という点においてはやはりモーツアルトを置いて他に無いでしょう。
後に白島にフレッシュパントリーなる高級食材を扱ったスーパーが出来たことで、広島市中心部の食品志向に少なからず影響を与えましたが、その度合い、インパクトという店では、アンデルセンの方が遥かに大きかったと思います。
(左は本通りになる長崎屋さん。右は白島にあるフレッシュパントリー)
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アンデルセンは、広島を中心とした中国地方で十三店舗、東京では十七店舗、その他、札幌や名古屋、福岡まで、全国各地に展開しています。
すごいのは、そのどれもが一流百貨店あるいは、一番の繁華街にあるということ。例えば東京であれば、青山(路面店)、銀座松屋店、新宿伊勢丹店、渋谷東横店、東京駅構内、といった具合です。
そうそう、東京にいるとアンデルセンは東京のパン屋だと思っている人がいますが、声を大にして言いたい。「アンデルセンは広島の食品総合店です」と。
ちなみに、広島では本通りの他、紙屋町そごう、八丁堀福屋、広島駅前(南口)福屋、それに横川、呉にあり、また、リトルマーメイドやタカキベーカリーは姉妹店になります。
アンデルセンのパンは、どれも素朴な中に上質な風味があって、ある意味では家庭的な味です。
飽きの来ないって言いますが、まさに日常的に食べて幸せになれる味ですね。(値段がそれを許しませんが・・・)
私が特に好きなのは「陳さんの蒸パン」と呼ばれる蒸パンです。
今も「陳さんの」とついているんですかねぇ。少なくとも在京店ではついていないのですが、あれは美味しかった。
あとはデニッシュかなぁ。鶴見町にあるアロフトのデニッシュも美味しいですが、バターの風味でやはりアンデルセンに一日の長があるような気がします。
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これからクリスマスに向けてはお店が一年で最も華やかになるシーズンでしょうね。
様々な食材やプレゼントを買い求めて多くの人が本通り店にも行くことでしょう。
そんなとき、ついでにもう一つ、蒸パンを買って帰ってはどうでしょ。
すぐに食べても美味しいし、トースターでちょっと焼いても美味しい。
ミルクとでも、濃い目のコーヒーとでも、緑茶とだって合う。秀逸の一品です。
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