特別多い、という訳ではないですが、広島にある洋菓子屋さんの中でも、知名度で五本の指に入るのが、モーツアルトとマリオです。
かつてのモダンな広島を象徴する洋菓子屋・洋食屋が「衆望」であるならば、戦後の広島を代表する洋菓子屋さんがモーツアルト、そして平成を代表する洋菓子屋・洋食屋がマリオです。
モーツアルトさんは、商号としては「バッケン・モーツアルト」と言い、1977年(昭和52年)設立。広島市内を中心に、中国地方で五十店舗あまりを展開する、まさに広島を代表する洋菓子屋さんです。
八丁堀(中央通り)や並木通りにある店舗が有名ですかね。
最近では幟町にコンツェルトハウスというピアノも備えた、ちょっと趣向の違う飲食用店舗もオープンしていますが、私のイメージとしてはやはりモーツアルトさんのギフトボックスでしょうね。
高級洋菓子のギフト、と言えば、モーツアルトはずっと広島の「定番」でした。
「モーツアルトの三千円が無難じゃね」とか、「五千円なら間違いないじゃろ」とか。
あの宝箱のようなボックスを開けて、色々な種類のお菓子が詰まっているのを眺めるのは、本当に嬉しかった思いがあります。
モーツアルトのお菓子はどれも繊細で、上品。
ドイツ風なんでしょうね。名前からしても。
所々に瀬戸内の柑橘を取り入れながら、パウンド系の日持ちのするお菓子は遠方の知人へのギフトにもピッタリでしょう。
そんな「モーツアルトの牙城」に突如として食い込んでいったのが、マリオさんです。正式にはサン・マリオのマリオデザートというラインになります。
マリオさんも並木通り、新天地、じぞう通り、といった辺りを中心に展開していますが、こちらは洋菓子だけではなく、洋食屋や居酒屋など、多層展開しています。
新天地広場そば(パルコお向かい)の店舗が有名ですが、私がよく行ったのはじぞう通りを一本富士見町側に入った富士見町店です。
マリオのケーキはモーツアルトとは違って、生クリームたっぷりで、こぼれんばかりのフルーツが乗っかった、アメリカンなスタイル。
それでもクリームは見た目ほどは甘くなく、タルトはサクッと、シフォンはフワッとしていて、いくら食べても飽きないんです。
モーツアルトに比べると、雰囲気もグッとアットフォームで、洋食屋店舗なんかも、中々に美味しい。
実は、若くしてサラリーマンを辞められた方が始められたという話を聞いたことがありますが、その辺りがお菓子一本のモーツアルトさんとの違いに出ているのかも知れません。
甲乙はとてもつけられないですね。
焼き菓子ならモーツアルト、タルトならマリオ、と、その日の気分で決めるしかないでしょう。
レンガ造りで職人的なモーツアルト、南仏を思わせるテントでアットホームなマリオ、これからも切磋琢磨して美味しいお菓子を提供していただきたいものです。
今回はモーツアルトとマリオさんを取り上げましたが、もう一店舗忘れてはならないのは、本通りにあるアンデルセンさん(上の写真)ですね。
こちらはなんと1967年創業。お菓子専門ではなですが、広島の中心で美味しいパンを提供し続けてくれている老舗です。
私はこのお店の「陳さんの蒸パン」が大好物。あれはもう、立派なお菓子ですね。
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