紙屋町からさらに北東方向に向かっていくとあるのが横川の街です。
広島駅からもJRで一駅。広島城からも徒歩十分あまり。かつては交通の要所として栄え、戦後には広島駅南口に続く闇市が栄えました。
私が子供のころまではまだその雰囲気が色濃く残っていて、ちょっと恐い様な、魅力的な、妖しい輝きを持った街だったように思います。
その後、広島市北部からの交通が可部線主体から、バスやアストラムラインなどに取って代わられ、次第に北部からの交通が東に移るに連れて、次第に横川の重要性は低下。細く狭い商店街とシャッターを下ろしたスナックが続くだけの寂しい街に変わってしまいました。
祇園大橋が出来て、車の移動でも横川方面(旧国道五十四号線)を通る人が減ったのも、一因かもしれません。
ここ一年ぐらい、横川がアンダーグラウンド芸術を抱え込んで新しい魅力を発している、という特集をいくつか目にしました。
確かに横川はそのイメージから、アンダーグラウンド芸術に不可欠な「妖しさ」のようなものをいい意味で持った街です。
数年前には、映画カスタムメイド(主演:奥田民生、木村カエラ)の舞台にもなりましたしね。
と、同時に駅舎もレトロな昭和風に改築され、再びその輝きを取り戻さんと、色んな工夫がなされているのが、立ち寄っただけでも感じられます。
ただ、広島の街 : 段原や広島の郊外 : 瀬野のところでも度々触れているように、市街地の開発自体が次第に西から東へと広がっていく中で、かなり苦戦を強いられている、というのが実情でしょう。
横川から最も近い紙屋町自体が求心力を失っていく中で、横川だけが再び活気を取り戻すのはかなり厳しい。
広島駅から東側と横川、西広島と続く西側の景色を比べれば一目瞭然です。
それだから横川がいい、って意見も、もちろんあるんでしょうけどね。
活気に乏しい平日の横川、しかも冷たい雨の日とくれば、まさにそれ自体がアングラ芸術かのような「妖しい」雰囲気に満ちてるとも言える。
ただ、個人的にはもう少しサブカル的な要素が集まらないと、とも思います。雰囲気が、重たすぎる。
それから、これは良し悪しなのですが、基本的に車で行くのに便利な街じゃない。
横川が、小ざっぱりした「綺麗な街」になりすぎても、それはそれで嫌ですけどね。
改築された横川の駅舎(上)と、広電の到着口(下)
横川駅前を通って北部に向かうバス(オレンジ色が目印)
横川駅前の細く小さなアーケードと、寺町に抜ける商店街の商店
すっかり有名になった横川シネマ(左)と、横川らしい横丁の風景(右)。シャッターは閉まったまま。
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