8月6日。今年も暑い夏の折り返し。広島がヒロシマの日を迎えました。
福島での原発事故もあって、改めて注目を集めた今年の平和記念式典。週末と言う事もあって例年以上の方が出席されるか、という話もあったみたいですが、結果、去年よりも少なかったみたいですね。
時代の変化もある中、式典自体をどういった「場」にしていくのかと言うのは今後も議論があるところでしょう。
広島の街 : 平和公園と原爆ドーム
広島のニュース : 8月6日 平和記念式典
さて、そんな平和公園を突っ切って伸びる一本の道路があります。
東に向かえば5分もたたぬ内に本通りに姿を変えて、そのまま流川へ。西に向かえば本川を越えて土橋(堺町)で広電の軌道線を横切り、小網町があって、天満川へ。
珍しい広電専用の軌道橋を横目に眺めながら川を渡ればそこは天満町です。
その道路は西国街道と呼ばれ、江戸時代の街道の一つ。山陽道と同一視されることも多く、言わずもがな、かつての安芸広島においても最重要道路でした。
明治・大正の時代になってもやはり今のアンデルセン辺りから本川あたりまで、西国街道沿いが最も繁栄した地域でしたから、土橋がその外れ。天満川を越えて天満町に入ると、下町というか、ちょっとした郊外の赴きがあったものと考えられます。
(路面電車専用軌道橋である天満橋の東詰(土橋側)と渡って直ぐに広がる天満町の風景)
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以前広島の風景 : 七つの川① 「太田川放水路」でも触れましたが、戦前のこの辺りは福島川と天満川に挟まれた、完全に中洲状態の街でした。低地で地盤は緩く、そこの頃の写真を見ると、湿地と言うか、西国街道沿いを除いては、あまり整備されていなかったようです。
ただ、1912年に広電の紙屋町-己斐線が開通し、昭和に入って広島が街(軍都)として栄え始めると次第に市内の人口が増えてきて、土橋・小網町・天満町には長屋風情の大衆住居がいくつも作られます。
当時本川から吉島にかけては商工業地域でしたから、その脇にある労働者の居住区、といった趣で、原爆を題材にしたような映画、小説なんかでもよくその街並みが出てきます。
一言で言うなら狭い地域に長屋が無秩序に立て込み、入り組んだ路地があって、それらは整備されておらず、ちょっと薄暗い街を市内電車が走る音が聞こえる、とか、そんな感じでしょう。
実際には古くからの住人やちょっとしたお屋敷もあったみたいですし、実際それらの風景がどれぐらいのものだったのかは分かりませんが、今でも天満橋の西詰に立って、市内に向かい天満橋を越えていく広電を眺めれば、どこと無く、その当時の雰囲気が蘇ってくるような気になります。
街並みの大半は、やはり原爆で人と一緒に吹き飛ばされてしまいました。
(天満町から市内方面を眺める(左)。今も残る長屋造りの家(右))
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かつて川が何本も枝分かれしていたような地域だけあって、すっかり埋め立てられた今でも西国街道を歩けば地形が上下している事に気がつきます。
これは市内では結構珍しいんじゃないかな。広島市内は橋を除いては基本平坦ですからね。
本川以西の西国街道自体は、もうすっかり寂れてしまって、己斐までは店なんかも殆どないですが、車の行き来は結構あるんですよね。バスも通ってるし。
一方、その三十メートルほど南。平和大通との中間辺りを走っている広電の方は、結構天満町電停辺りは賑わってます。
スーパーがあって、飲食店があって、結構な規模のマンションが建てられて。まぁ場所柄、広電は通っているし、平和大通にでればバスもあるし、それなりに便利なんでしょう。紙屋町までも広電使って十五分ぐらいかな。
この天満町とお隣の観音町電停は下の写真を見ても分かるように何だか昔の風情を残した電停です。
今じゃあ市内では宇品線の一部とここぐらいでしか見れなくなった、柵の無い電停ですね。宇品あたりは車量も多いんだけど、この辺は車も少ないんで、柵がなくてもあまり問題にはならないんでしょう。
マンションも増えてきた天満町ですが、やはりその魅力は何だかゆったりした街並み、ってことなんでしょうね。土曜日ともなると朝も10時ぐらいに小さな喫茶店が驚くほど混み合ってたりします。
自転車を漕ぐ人も多くて、程よい規模の公園があったりして。若い家族も多いな、という印象です。
もしかすると、天満町界隈は、広島の新しい下町になりつつあるのかもしれないですね。
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