広島は江戸時代、山陽道の中心地として栄え、商業が発展しました。明治時代に入ると、軍都広島として、物づくりの中心地として、瀬戸内に点在する、呉や宇部といった近隣の都市のまとめ役として発展を遂げた、と言えるかも知れません。
前者は、まさに山陽道沿いだった、本通りの商店群や八丁堀のデパート群に見て取れますし、鷹の橋や広島駅前(南口)の荒神市場辺りにもその面影を残しています。
また、物づくりの面では、マツダはもとより、カルビー、モルテン、フマキラーなど、現在は広島に本社を置いていない企業も含め、創業が広島市内、という会社を見つけることができます。
その一方で、サービス業、特に金融機関は、このレベルのサイズの都市としては珍しく発展を遂げませんでした。もちろん、広島銀行、もみじ銀行といった、所謂地場の金融機関はありますが、100万都市としては数も少なく、規模も大きいとは言えない。
県民性でしょうかね。保守的なのか、特に証券会社にとっては厳しい土地柄と言えるかも知れません。
そんな広島ですが、この大手町だけは、さすがに雰囲気が違います。
特に、本通りを境に紙屋町を引き継いで平和大通まで続く大手町二丁目には、金融機関が軒を並べます。
そうそう、大手町は一丁目が原爆ドームのある元安川沿いから紙屋町を横手に始まり、二丁目は、紙屋町二丁目を引き継いで南に下っていく、という少し分かり難い形状をしています。
南から広電を横目に鯉城通り沿いに上がっていくと、大手町二丁目があって、紙屋町二丁目があって、あれ?っと左に曲がると大手町一丁目がある。
紙屋町二丁目には銀行が多く、大手町二丁目に入りNHKのビルが建つ平和大通との交差点までは、証券会社が多いです。
大手町一丁目は原爆ドームを別にすれば、商業ゾーンですね。
金融街の中心は、かつての日本銀行広島支店跡地です。
現在の日本銀行は、広島市民球場の脇に移っていますが、その立派な建物はまだ大手町の対面、袋町に残っています。
現在では、文化財として公開されている他、写真展などの催しも開かれているようです。
個人的には旧日本銀行の斜向かい、ちょうどNHKの近代的なビルの脇にひっそりとある喫煙所が好きで、広島に帰ると必ず行く場所ですね。
なんてことのない、サラリーマンの憩いの場ですが、喧騒から少し離れ、夜の静かな金融街の中で、白神社(しらかみさん)を望みながら、一息つくことのできる場所です。
(昭和十一年竣工の旧日本銀行。昭和初期の軍都広島の反映を偲ばせる、数少ない建物)
広島の中心部が東にシフトしていく中でも、この紙屋町二丁目から大手町二丁目にかけての賑わいはあまり変わらないですね。
やはり、会社ビルが多いからでしょうか。全国規模のサービス・金融会社が多いのが、かえって幸いしているのかもしれません。
そうそう、紙屋町二丁目と大手町一丁目の境目にもう一つあるランドマークが、家電メーカーのデオデオ(旧ダイイチ)さんですが、それはまた別の機会に。
広島の街 : 大手町(2) ~ 三丁目・四丁目・五丁目 ~へ
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。