江波という街のもう一つの魅力。それは江波山の裏側、ちょうど気象館を冠に乗せた江波山と本川の間の地域にあります。
この辺りはあまり広くは無いですが、昭和三十年代から区画があまり変わっておらず、車どころか自転車も行き交うには苦労するような路地が幾重にも残っています。そして、家並みもそんな感じ。
季節柄、庭先にはスナップエンドウやヨモギが緑鮮やかで、多くの家が庭を持っているのですが、「蚊取り線香の香り漂う軒先に座って西瓜にかじりつきながら・・・」なんて光景が実によく似合う風景なんです。
住所で言うと江波南一丁目あたり。もちろん、家や塀は新しくなっていたりはしますが、それでも石塀や格子戸の家なんかも残っててね。新しい家の造りも、イキナリ駐車場があって飾り気の無い玄関が、ってものじゃなくて、長屋造りに近い、というか、車が入らないせいでしょうかね、何だか新しくても懐かしい家並みです。
あぁ、広島にもこういう場所が残ってるんだなぁってのが素直な感想です。
市内から程近い場所に、ある程度の規模で残っているのが、見つけた時には本当に嬉しかったですね。
しかも、決して寂れてる訳じゃない。そのあたりは皆実町なんかに通じますが、江波の方がもう少し牧歌的でしょうか。工場なんかがあったエリアと漁村に近い街だったエリアとの違いなのかな。
下の写真を見てみてください。
何処と無く沖縄や離島の風景にも似てません?
海が近くて、緑が鮮やかで、車が無いからでしょうかね。もちろん生えてる植物なんかは違うんでしょうけど。海が近いってのは結構大きいと思います。
防災上の観点とか、色んな問題があるんでしょうけど、残っていって欲しい風景ですねー。広島市内じゃ数少ない風景ですから。それこそ那覇なんか行くと結構見る風景ですけど。
以前も書きましたけど、戦争で街が吹っ飛んだせいで、中心部は区画整理されちゃいましたからね。
車が通らない(通れない)街ってのもいいじゃないですか。尾道もそうですが、車が通れない事で不便な事も多いし、ある種の生活上の危険も増えるんでしょうけどね。でも路地で子供が遊んだり、庭の手入れをしたり、季節の虫の鳴き声を聞いたり、そんな生活の場ってのも素敵な事だと思うんですよね。
壁や通りや路傍の石や、そんなものが息づいてるって言うと大げさですかね。そんな風景です。
さて、そんな路地風景を抜けて本川に出れば、そこはもう旧太田川の河口。海辺の風景になります。
昔はかき打ちで栄えた通りは、今は帆立貝が並んでますが、それでも船が浮かんでいたり、牡蠣イカダが浮かべられていたりでその雰囲気を残しています。
休日の夕暮れになると犬連れなんかで散歩してらっしゃる方も多くて、ほんのり潮の香りのする風が心地よいですよ。空がとっても大きく見えます。
これからは夕凪で蒸し暑いばっかりでしょうけど、空はきっと夏がきれいでしょうねぇ。
江波南も含めて、冬よりも夏が似合う街です。
そうそう。江波南にはコンビニがあまりないですからね。飲み物は江波電停のあたりで買っていってくださいね。夕涼みできるほど涼しいかは分かりませんが、本川沿いに登って夕暮れにボンヤリするのも、それはそれで贅沢な夏の休日ですよ。
3回に渡って特集してきた江波、どうでしょう?
何だか行ってみようかなぁ、と思っていただけました?
私自身、まだまだ行き足りない街だなぁと思っています。季節ごとの違った表情や、平日・休日、朝・昼・夜、色んな顔があるはずだし、その多くが魅力的なんじゃないでしょうか。
きっとたぶん、そこには人が住んでいて、学校があって、広電が通っていて、街が華やかじゃなくても呼吸をしているからなんだと思います。
今回ひさびさに江波に行って、あぁもしかすると他にもこんな街があるんじゃないか、と思いました。
向洋や、牛田、草津なんかもそうかも知れない。
これからの季節、暑いのをちょっと我慢して歩きに行ってみたいと思います!
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【関連する過去ブログ】
広島の街 : 江波(1)
広島の街 : 江波(2)
広島の街 : 舟入
広島の街 : 観音マリーナホップ
広島の街 : 吉島
広島の街 : 比治山
広島の街 : 平和公園と原爆ドーム
広島の風景 : 七つの川③ 「本川」
広島の風景 : 七つの川② 「天満川」
広島の風景 : 路面電車
広島の風景 : 安芸の子富士
広島の風景 : 広島みなと夢花火大会
【関連する他のウェブサイト】
広島市江波山気象館公式ホームページ
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