広電の端っこ。広島駅、宮島口、白島、宇品、横川、そして江波。
江波?
この中では白島と並んで、はて?何故そこに?と言う場所なのかも知れません。
江波と言うのは天満川と本川に挟まれた場所で、天満川の対岸は観音、本川の対岸が吉島になります。
その中でも広電さんが選ばれたのは江波。これは戦前の江波や舟入の活況が大きく影響したわけですが、同時に江波には気象台とか、公の施設があったこともあったんじゃないでしょうかね。
江波と言うのは、江波山と江波皿山という、半ば瀬戸内海に突き出た山を中心とした、長いこと遠浅の海岸地域でした。江戸時代に入って埋め立てが進んだ後には、所謂、漁村になったですよね。「舟入」という地名が江波よりも内陸にあることからも、「江波」と名の着く場所がどういった風景だったかは想像に固くないでしょう。
明治に入って本格的に埋め立てられてからは、かき打ちなんかで栄えたみたいです。今でも通りにその栄華の名残を残しています。
今でも漁村的な空気を存分に残した街ですよね。
私のすごく好きな広島の、そして瀬戸内の街です。路地が入り巡ってて、お好み焼き屋がたくさんあって、広電の音が響いて。川沿いに出れば安芸の子富士が望め、小高い江波山に登れば瀬戸内の風景が望める。
なんと言うか、昭和時代の面影をいい意味で残した街の一つです。
(本川沿いに望む瀬戸内海と安芸の子富士。そして脇にあるかき打ち通り。作りかけの広島高速が目に毒)
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一回じゃ勿体ないんで、江波は数回にわたって取り上げたいと思います。
街並みは後にとっておきましょうか。
まずは江波山から。
山って言っても実際には丘も無い程度。下から望めば頂上は直ぐそこです。
江波山のてっぺんには旧気象台があって、被爆建物の一つなんですが、現在の正式名称を「広島市江波山気象館」と言います。まぁ博物館ですね。
昭和10年に国泰寺から江波に気象台が移ってから50年余り、昭和62年に上八丁堀にある広島合同庁舎へ移転するまで、ここが広島地方気象台でした。その間に被爆も経験した訳です。
『空白の天気図』(柳田邦男)の舞台でもあります。
建物はモダンな昭和初期建築。もちろん鉄筋コンクリート製で、どこと無く本通りのアンデルセンや大手町の日本銀行、なんかとも通じる空気があって、産業会館(現原爆ドーム)も残っていれば同じ様な雰囲気だったろうと思います。
博物館として休日もやってますから、是非訪れてみてください。
広電の江波電停からてくてく歩いて、江波山に登ってく途中にトンネルが目に入ると思います。その先は小学校と三菱重工さんの工場があるぐらいなんですが、このトンネルが私は好きですねぇ。なぜか。
なんだか幼い頃の好奇心にも似たワクワク感を持たせてくれるトンネルですよ。比治山トンネルとは大違い(笑)。
緑に包まれた、何だか違う場所に運んでくれそうなトンネルです。その先は直ぐに海なんですけどね。
風の向きによってはもうその辺りは汐の匂いがしますよ。本川沿いに出ればもちろんです。そうそう。この辺りはまだヨモギも結構道端に生えててね。何だか懐かしい風景です。
昔は市内中心部でも結構見かけたんですけどねぇ。最近はてんで見なくなりましたから。
(江波山のトンネル。そしてふもとから見た江波山の気象館。道端に伸びるヨモギ)
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江波山から見る瀬戸内の景色は何だかぼんやりおっとりとした色合いで、風が気持ちいいです。
木々が生えすぎててちょっと見えづらいですが、宇品で行われる広島みなと夢花火大会を見るにもいい場所かも知れないです。(入れるのかな。ちょっと分かんないですが)
市内側を望む景色としては江波皿山からの方がいいですが、それはまた次回。
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【関連する過去ブログ】
広島の街 : 舟入
広島の街 : 観音マリーナホップ
広島の街 : 吉島
広島の街 : 平和公園と原爆ドーム
広島の風景 : 七つの川③ 「本川」
広島の風景 : 七つの川② 「天満川」
広島の風景 : 路面電車
広島の風景 : 安芸の子富士
広島の風景 : 広島みなと夢花火大会
【関連する他のウェブサイト】
広島市江波山気象館公式ホームページ
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