広島の写真集 : 1. 広島市街地
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広島の写真集 : 2. 広島の祭り
- フラワーフェスティバル
- ドリミネーション
- その他のお祭り
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広島の写真集 : 1. 広島市街地
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広島の写真集 : 2. 広島の祭り
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投稿情報: 18:26 カテゴリー: 広島の写真集 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
メグの愛称ですっかり有名なバレーボール選手、日本代表のエースです。
ご存知の方も多いと思いますが、出身は瀬戸内海広島湾に浮かぶ能美島(現江田島市)。
中学二年生から他県の学校にバレー留学していますので、実際には十三年ほど能美島に暮らしていたことになります。
まだ学生の頃から有名選手でしたが、アテネオリンピック予選あたりで一気に全国区になりましたね。
もう八年以上も前のことです。
その後紆余曲折を経て、山形県天童市を本拠地とするパイオニアレッドウィングス、というチームで今はプレーをしています。
もちろん、彼女自身は素晴らしい選手だと思うのですが、能美島からそういった選手が出た、ということ自体にやっぱり驚きを隠せないです。
陸上など身体能力を競う競技ならまだしも、バレーボールという団体競技はどうしても周りにもいい選手がいないと成長も、ステップアップも難しいです。
そういう意味で、やはり幼少の頃から同じような才能を持った子供達の多く集まる都市部出身者が多くなる。
能美島なんて、(失礼ですが)あぁバレーボール体育館がちゃんとあったのね、という島からそういう選手が出た、ってのは本当に驚きです。
ご両親が相当努力されたそうなのですが。
同時に、アテネオリンピックにおける彼女達のメディアからの取り上げられ方、それは今の多くのスポーツで見られることですが、所謂アイドル的取られ方は、東京などに住んでいる人から見るとあまり驚くようなことではないのかもしれませんが、十数年間とは言え、能美島で海と山に囲まれて育ってきた十代後半の女の子には信じられないような部分もあったように思います。
それは良いこともあっただろうし、辛いこともあったでしょう。
良いか悪いか、ということではなく、都会に暮らす人々に比べ、そういった面で脆いところが、瀬戸内海の島で育ったような人にはどうしてもあります。
中学・高校時代から注目され続け、メディアからの取材も他の選手に比べて多かったであろう彼女ですら、その取り上げられ方を普通のこと、あるいはただうれしいことだとは感じられなかったと思います。
アテネオリンピック後、彼女が東京近郊に本拠地を置くNECをやや強引に、逃げるように退団し、他の都市でも、広島でもなく、天童市という遠く離れた山に囲まれたチームに移籍したのは、バレーだけが理由じゃない気がします。
広島はスポーツの盛んな県で、野球選手やサッカー選手、陸上選手やバレー選手など多くの有名選手を輩出してきました。
特にサッカーにおいては今いる日本サッカー関連協会の幹部の半分くらいは実は広島出身、もしくは縁の濃い人たちです。
ただ、どうもそういった選手・関係者達はみんなメディア慣れしていない。
それは広島という街に住む人たちの多くの人の性格を現しているように思います。
中でも、能美島に生まれ育ち、あれだけの取り上げられ方をされた栗原選手は、特にエクストリームな状況にさらされた選手の一人でしょう。
勝手な予想ですが、アテネ以後、きっと彼女は能美島に例え一時的とは言え帰省するのが嫌だった時期があったように思います。
そのギャップに耐えられるほど器用なタイプには見えないからです。
最近になって、ようやく落ち着いてきた、というか、いい意味で彼女を取り巻く周りも落ち着いてきたし、彼女自身も慣れてきたように思います。
選手としてこれからも活躍して欲しいですし、ロンドン五輪にも出て欲しいですが、いい意味で、能美島に帰省したいなぁ、と思い、ぼんやりと瀬戸内海を眺めて過ごせるようにもなって欲しいなあ、と思います。
投稿情報: 15:43 カテゴリー: 広島の人 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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広島市内を走る路面電車。通称「広電」。 |
ここではその「広電」の駅にちなんだショートストーリーを公開しています。 |
全て作り話の”つもり”ですが、広電に乗ればそんな風景も・・・ |
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広電物語 : 「宇品五丁目に春が来た」
「ヒロちゃん、宇品五丁目ってどこよ?」
こいつはそれしか言うことがないのかよ。
契約更新のタイミングで皆実町二丁目のアパートを出て、おれは宇品五丁目に引っ越してきた。
それ以来というもの、何だか知らないがヤケに運気が上がってびっくりするぐらいだ。
宇品五丁目は広電の駅の周辺はびっくりするくらい路地の多い普通の住宅地だが、少し外側に行くと皆実町二丁目のショッピングモールに負けず劣らずのディスカウントショップやホームセンターが立ち並ぶエリアだ。
おれはまったくショッピングセンターに縁のない生活をしてるのだが、人によってはすごく便利なんだろう。
引っ越してからしばらくして、気がついたのだが、このエリアはやたらと若くて綺麗な人が多い。
そんなに一人暮らし用のマンションなんかがあるわけじゃないのに、不思議だ。
残念ながら「お隣さん」は例によって老人夫婦。
おれの運が悪いわけじゃない。
二十代後半の男が一人で住む部屋と老人夫婦が住む部屋がきっと似てるからなんだろう。
共通点はよくわからない。
部屋のタイプは向こうの方がちょっと広いみたいだ。
引っ越してきてから2回目の週末、家に足りないものを買いにホームセンターにふらふらと行くことにした。
小春日和もまだ肌寒い風が時折吹いてくる陽気だったが、三月も後半に入ってくると、すっかり世の中は春めいてくる。
こっちは風を警戒してまだシャカシャカしたタイプのジャージ上下だが、競うようにして世の男女は薄着をしたがる。
「ほら、春っぽいでしょ?」とか「春っぽいね」とか言いたいだけなのだ。
風邪でも引け、ばーか。
ゴトゴトと通り過ぎる広電を横目にホームセンターに歩いていく。
新しい車両なのだろうか、まだちょっとだけ寒そうに春の日差しを浴びてのんびり進んでいく。
昔に比べて音がなくなったせいだろうか、なんだか車体はスッキリしたのに、動きはのんびりになったような気がする。
途中、自動販売機で缶コーヒーでも買うか、と立ち止まったとき、ふと後ろを歩いていた人がぶつかりそうになって「キャっ」と小さく声を出した。
「ん?」と振り返る。
鼻血が吹き出るかと思うぐらいびっくりした。
「あれー?!ヒロちゃんじゃん!」
「おぉ、アカネじゃねーかよ、久しぶりだなぁ」
「大学以来だよね。びっくりしたぁ」
「いやーこっちもびっくりしたよ。4年ぶりくらい?」
「そうだね。何してんのー?こんなところで」
言われてみて、自分の格好を見て恥ずかしくなる。
アカネはすっかり春めいた色のインナーにベージュのスッキリした薄手のコートを着ていた。
大学時代は少しもっさりした感じの格好だった彼女は、少し痩せたせいもあるのか、驚くほど綺麗に見えた。
「いやー、めちゃくちゃご近所に買い物って感じじゃろ?」
と言って笑うと、アカネも4年前と変わらない感じで笑った。
アカネは当時からかわいかったと思う。
おれはほとんどの授業が一緒だったこともあって、学食で二人で一緒に昼飯を食ったりもしていた。
もっさりした格好と、あまり積極的ではない性格だったから、どちらかと言うと影の薄い方だったし、モテる、という感じではなかったが、笑顔はかわいいと評判だった。
もう少しどうにかなればなぁ、というのが当時のおれ達の共通見解だったが、『もう少しどうにかなった』アカネがそこにはいた。
「このあたりに住んどるん?」
「あぁ、すぐそこのパシフィックビュー宇品五丁目ってマンションよ。引っ越してきたばっかりで、それでホームセンターにね」
「えぇ、そうなんじゃ!私たぶん隣のマンションよ。レスパス宇品」
「?!マジで?お隣さんじゃん!」
そんなこんなでおれ達はお互いの電話番号が学生時代と変わっていないことを確認して別れた。
捨てる神あれば拾う神あり。いなくなったお隣さんあれば、やってくるお隣さんあり、かぁ。
じぶんがやってきたくせにそんなことを考えながらおれがニヤニヤして足取り軽くホームセンターでの買い物を済ませたことは言うまでもない。
帰り道に見た広電は、幾分速度を速めて快調に市内に向かっているように見えた。
次の週末、おれは会社の花見があったから土曜日の昼はノコノコと比治山に出かけた。
相変わらずバカな社員の集まった低レベルなイベントで、おれは例年のごとく一番の主役を演じた。
おれの一人三役芸のよる三角関係物語は、この手のイベントでは欠かすことの出来ない出し物だ。
比治山から見る市内の風景はあまり変わっていないような気がする。
盛り上がった花見会場を少し離れて、青葉をつけ始めた木々の間から徐々に日の傾いてきた市内を眺める。
遠くで広電のゴトゴト、という音が聞こえる。
今夜は実家にでも行ってみるかなぁ。
売れ残った果物を目当てに、おれは猿侯橋の実家に行くことにした。
広電に乗れば、今の家より近い。
宴会も終わって、青いビニールシートを今年は後輩に押し付けて比治山の坂を下りる。
「あれ、ヒロさん、宇品五丁目に引っ越したんでしたっけ?」
家が遠くなったから、という理由で押し付けたおれに、広電を乗り継いで40分ほどかかるところに家がある後輩が厭味を言う。
宇品五丁目でも20分くらいだ。
「ヒロちゃん、宇品五丁目ってどこよ?」
同僚がもう何回聞いたか分からない減らず口を叩きながら酒臭い吐息を振りまいてくる。
この人は既に人妻だが、もう少しどころじゃない。もう大分どうにかならないと、どうにもならない感じだ。
ポケットの中で携帯電話がなる。
アカネだった。
先週会って以来、二、三回メールのやり取りはしたが、電話は初めてだ。
「おう、どうした?」
「おう、ディスカウントスーパーに今来てるんだけど、キャベツがひと玉でしか売ってなくてさ。半分要らないかな、と思って」
「・・・」
しばし絶句。そのあとでおれは腹を抱えて笑った。
そうか、お隣さんができる、ってのはそういうことか。
「おう、要る要る。ついでにさ、ホームプレートでお好み焼き作ろうぜ。今夜暇?」
「あーっ!いいねー!ヒロちゃんホームプレートある?」
「あるある。いま街におるんじゃけど、30分くらいで帰るけぇ、マンションの一階に来てよ」
「わかったぁ。じゃあ他の材料も買っていくね」
「おうおう、よろしくー!」
おれは弟に「スマン、今日はムリ」とだけメールを送ると、うるさい後輩と同僚を突き飛ばして広電に飛び乗った。
宇品五丁目にも春が来たのだ。
(この物語はフィクションです)
投稿情報: 15:02 カテゴリー: 広島の作り話 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
広島空港周辺にゴルフ場などを有する第三セクター「広島エアポートビレッジ開発」が民事再生法の適用を申請しました。
■ 関連記事
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200909040066.html
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200909050045.html
個人的には、そりゃそうだよな、と思いますが、関係者の方々からすると気が気じゃない、という思いと、とうとうか、という思いとあるでしょう。
>>広島の風景 : 広島空港<< でも触れましたが、なぜこんな場所に、という疑問が結局未だに拭い去れない集客力のない広島空港と、その周辺施設。
空港は完全に「移動のための玄関」となってしまい、現西飛行場がかつて持っていたような、「空港としての集客力」は皆無になってしまいました。
これでは周辺施設の経営が上手くいく筈もなく・・・
再生法の適用を申請して以降も厳しい経営が続くでしょう。
広島、という場所は比較的地方都市にしては他県からの観光客の多い街です。
お祭りなども多いし、世界遺産もあって、日本に住んでいる人で広島に行ったことのない人、というのも少ないでしょう。
ただ、広島空港を利用した人、となると極端に少なくなると思います。
不便な空港に対して、広島駅の立地は抜群ですから。
むしろ「広島エアポートビレッジ開発」は、空港に抱っこされるような経営ではなく、不便な空港を牽引するような経営発想が求められていくことでしょう。
幸い、土地は十分にあり、交通の便もある程度整っています。
他県の方も訪れたくなるようイベントをすれば、自然と飛行機で皆さん訪れるはずです。
再生法適用を申請したことで、今後は経営の自由度もなくなり、大規模なイベントの企画などは難しいかもしれませんが、そこはせっかくの第三セクター。
官民学などがそろって、何か知恵を搾り出せないものでしょうか。
札幌のよさこい祭りなんかも、学生が発案のようですし、そういった新しい集客力向上に向けた取り組みが求められているように思います。
投稿情報: 18:05 カテゴリー: 広島のニュース | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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広島市内を走る路面電車。通称「広電」。 |
ここではその「広電」の駅にちなんだショートストーリーを公開しています。 |
全て作り話の”つもり”ですが、広電に乗ればそんな風景も・・・ |
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広電物語 : 「ここんところ寒すぎじゃね?」
「おかぁん、ここに置いとったケータイしらん?」
「知らんわいね。えーけぇ、行くよ、さっさと支度しんさいや」
「だってケータイがないんじゃもん」
「あーもぉ、近頃の中学生ってのはみんなこーなんかねぇ!」
「はぃはぃ。そーよーに怒らんのよ。あ、あった」
「あったんならはよーしんさいや、ヒロカ!おじいちゃんまっとるんじゃけぇ!」
「今度は充電器がないんよー。ねぇ、知らん?」
扉から娘がヒョっと首を出す。
急ぐ気などサラサラありません、という顔だ。
イライラする。娘のヒロカは中学二年生だ。
一昔前なら髪を染めてみたり、お洒落に目覚めたり、ちょっと危ないことをしてみたり、恋愛したり、そんな年だったハズだ。
多少グレてくれた方がまだわかりやすい。
最近の子は悪いことをしてる様子がない。
様子がないってことは悪いことをしていないわけじゃなくて、悪いと思ってないし、それが外に見えないってことだ。
携帯電話やインターネットのせいだとみんなは言う。
でもきっとそれだけじゃない。
別に携帯にできて手紙と公衆電話にできないことなんてあんまりないし、インターネットにできて本とテレビにできないことなんてあまりない。
みんな新しいもののせいにしたいだけだ。
悪いことを悪いと伝えなきゃダメだ、ってどっかのテレビコマーシャルでやっていた。
わかるよ、言ってることはわかるよ。
「うーん、おかぁんの貸してーや」
「えぇよ、もう貸すけぇ、なんでもえーけぇ、はよー行くよ」
「わかったよぉ。もう。そんな急いでどうするんね。別に危篤とかでもないんじゃろ?」
入院中のじぃさん、正確に言うと旦那の父親はピンピンしている。
えーっと、どこが悪かったんでしたっけ?と思わず聞きたくなるくらい、旦那の差し入れているコップ酒を今日も美味そうに飲んでいる。
看護婦に見つかりそうになると、今日は寒いのぉ、なんて言いながら鼻のあたりまで布団を被る。
本人は匂いと顔が赤くなっているのがわからないようにしているつもりなんだろうが、日本酒の匂いなんて部屋に入った瞬間から漂っている。
こいつが見舞いにきとるクセに飲むんじゃぁ、と旦那のこと指差す。
すいませんね、うちのオヤジが、なにぶん酒屋ですけぇ、なんて言ってる旦那も、コップを後ろ手に隠している。
まったく、昔の人間は悪さがわかりやすい。
「うわぁー、ここんところ寒すぎじゃね?」
「あんたがそんなひらひらのスカート履いとるけぇよ!はよー車に乗りんさい!」
「うぅぅ、寒い」
トロトロと娘は助手席のドアを開いて、ヨイショとかなんとか言いながらモタモタとクッションをはたいている。
先に座ってるこっちの方が寒い。
ヒロカは目立ってトロいわけじゃない。別に座る前にクッションをはたいてるんだから、悪いことをしているわけでもない。
しかし、いちいちイライラする。
年の差か、と思って我慢することの方が圧倒的に多い。
ただ、最近、旦那が似たような人間であることにふと気がついた。
誰々が待っているとか、こんなものが欲しいんじゃないか、とかこんなことをしたら怒られるんじゃないか、とか、いちいち他人のことを気にする人間には、きっと生きにくい世の中になった、ということなんだろう。
悪いことをしてる様子がないってのは、きっと「怒られるかもしれない」という恐怖感や不安感がないってことだ。
事実、病院で日本酒飲んだって、車に乗る前にクッションをパタパタやったって犯罪ではないわけだし。別にかまわんよ、かまわん。でも他人の気持ちってものがあるじゃろぅ
ヨイショっとか言ってやっと扉を閉めたヒロカを睨みつける。
「あんたねぇ、ちぃーたぁ人が寒いとかなんとか考えんのね?」
「いやぁ寒いねぇ。なんか前に住んどった家より寒いと思わん?」
「外が寒いかどうかの話をしとるんじゃないんよね!」
「やっぱり海に近いと寒いんかねぇ」
わざとなのかどうなのか、はぁっと手に息をふりかけた娘はスカートを今度はぱたぱたやりながら曇ったサイドウィンドウ越しに外を眺めた。
こっちははぁぁぁっと溜め息をハンドルにふりかけて車を発進させる。
すぐに走ったところで、広電の走る道を左折する。
引越しをするってなったときに、旦那は広電の駅の近くという条件だけは譲らなかった。
なんでだか知らないが、ヒロカのことを思って、だったらしい。
今となってはヒロカは学校には自転車で行っているし、旦那は酒屋に広電で行っている。
親子だなぁ、と見てると思う。入院中のお義父さんも含め。自分だけ、血がつながってないのを実感する。
年頃の娘は隣で携帯をプチプチやっている。
「彼氏でもできたんねー?」
「あん?めずらしいじゃんか、おかぁんがそんなこと聞くなんて。ヒロミちゃんよ、ヒロミちゃん」
「あぁ音大の?」
「そっそ。なんか比治山がうんたらって曲で全国四位になったんだって」
「えーっ、すごいねぇ!」
「いや、大学が、よ。ヒロミちゃんは端っこの方で笛吹いとっただけらしいけど」
「あんたもなんかしんさいや!最近部活もロクに出ちゃおらんのんじゃろーが」
「はっはっは。この親にしてこの子ありですよ。あかぁんもなーんもできんじゃんか」
ふてぶてしい娘はまたサイドウィンドウ越しに併走する広電を眺めている。
確かに、ヒロカは昔から広電が大好きだった。
前の家は近くに走っていなかったから、たまに市内に出て広電を見つけると、乗りたいと言ってきかなかった。
「あんたも広電に乗りたい乗りたいって駄々こねたかわいい時期もあったよねー」
「駄々こねん今のほうがかわいいじゃろ?わがまま言わんこんなえぇ子はおらんよ」
そういう見方もあるのか。
「外は寒いんだろうなぁ」
ヒロカが窓を開ける。
わかっとるんじゃったら開けるなやぁ!寒いよぉ。
広電の走る音を聞きながら目の端を緩める娘の表情は、昔とちっとも変わっていなかった。
(この物語はフィクションです)
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