広島駅から山陽本線で一時間半。新幹線を乗り継げば一時間ほど東に向かった所にある、海沿いのこじんまりした美しい街が、尾道です。
山陽本線に乗ったって、瀬野川眺めたり、西条の辺りの白壁の家々を見たり、本郷の田園風景、それに風光明媚な沼田川とそこに架かる雄大な広島中央フライトロードなんかを見て、うたた寝でもすれば、あっという間です。
(呉線から時間をかけて海沿いをぐるっと回るというウルトラCもあります)
これまでも何度か触れてはきたのですが、街として取り上げるのは今回が初めてですね。
NHK連続ドラマ「てっぱん」の一つの舞台になったので、ご存知の方も多いんじゃないかと思います。
山と海との狭い隙間に家々が軒を連ね、坂道と猫で有名な町ですね。
かつては尾道水道と呼ばれる、尾道眼下の瀬戸内海を船が行き交い、渡し舟が多くの人を乗せ、賑わった街です。
有名な映画、「時をかける少女」の舞台でもあり、最近ではアニメ「かみちゅ!」 も尾道の街をモチーフにして作られました。
放浪記を書いた林芙美子や、暗夜行路を書いた志賀直哉に愛された街としても有名ですね。
(尾道水道を千光寺公園から眺めた景色と、尾道駅ほど近くにある林芙美子の銅像)
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訪れたこの日はあいにくの雨模様でしたが、それはそれで美しいのがこの街です。
この街が最も繁栄したのは、江戸時代と戦後十年ほど、と言われています。
江戸時代には街道(山陽道)沿いの街として、戦後は造船業の拠点として、です。
現在はちょっと寂れていますね。
ただ、これは追々書きますが、新たな息吹もふつふつと感じさせてくれます。
四季折々、いつ訪れても美しく、しみじみと温かい街です。
ここでは3回にわたって、この街を取り上げてみたいと思います。
電車が尾道駅に入ってきて、駅を出ます。恐らく最初に思うのは、狭い街だなぁ、ってことでしょうか。
海から山までの距離が近く、また海に出ても「水道」と呼ばれる様に、目の前には向島というおよそ陸地ほどある大きな島が浮かんでいて、その狭い空間にしがみつく様に家々が立っています。
鎌倉よりも開放感が無く、強いて言えば小樽に雰囲気が似てるかもしれませんね。
恐らく栄えていた時代や産業に類似点が多いからじゃないでしょうかね。
尾道の場合、駅前は随分と開発されていますが、まぁ直ぐに昔ながらの街並みが広がるので安心してください。
駅を出ると多くの人がまず左(東側)に向かって歩くんじゃないでしょうか。
目の前に広がる海に出てもいいですが、そこでは何もすることがないので、左に行くのがいいでしょう。
前述の林芙美子の銅像が見えたら、もうそこは尾道商店街の入口です。
入ると直ぐに林芙美子や大林宣彦(時をかける少女の映画監督)をフューチャーした喫茶店なんかが目に入ってきます。
途中、左手に折れる寺めぐりの道看板も出ています。
尾道では、
①先に寺を回り、後で街をめぐる
②先に街をめぐって、後から寺に行く
③街 --> 寺 --> 街、とめぐる
の3種類の観光方法があります。寺めぐりは坂めぐりですので案外キツイです。
私は②のコースでめぐりました。なので、まずは商店街を直進。
途中の路地をひょいと覗くと海が見え、人々が行き交う姿があります。
こういった細い路地は尾道の特徴で、その生活風景はこの街の大きな魅力でもあります。
実はこの辺りはまだ街外れです。
ずんずん進みましょう。
商店街の中には古い建物や銭湯を新しいお店に外見を残したまま鞍替えしたお店がチラホラ見えます。
そういったお店に立ち寄ったりするのも楽しいですね。
駄菓子や雑貨といった値段の安いものが中心なので、ついつい荷物が増えてしまったりします。
商店街が一旦途切れ、センター街の看板が見えたら、中心街に近づいてきた証拠です。
とはいっても、別に大きく風景が変わるわけじゃないんですが、お店も少しだけ高級なお店に変わります。
中でも尾道帆布のお店が目に付くでしょう。
尾道帆布というのはかつて造船に使われていた帆布を使用した商品で、丈夫で風情があって、それを売っている店がチラホラ見えるはずです。
値段は安くは無いですが、小物から売ってるので、是非見てみて、それから手触りを味わってください。
少し麻にも似た、ゴワゴワっとした手触りで、如何にも丈夫そうでしょう?
アーケードの下を歩く分には雨にも濡れないし、快適ですね。
正式には、これらのアーケードは全て尾道本通りと言う名前で括られています。
もしちゃんと尾道の街を知りたければアーケード内に尾道商業会議所というレトロな建物があって、併設されている「おのみち街かど文化館」に資料がそろっています。
観光に便利なパンフレットとかも置いてあるので、駅で取り忘れた方は、是非ここで。
ガイドブックなんて要らないですよ、尾道は。街は小さいし、パンフレット類がちゃんとありますから。
むしろ映画の一本でも観てから行った方がいいでしょう。
センター街に入ってしばらく進むと左手に千光寺通に抜ける看板が見えたら、いよいよ街の中心街です。
次回は一旦尾道水道方面に寄り道をしてから、尾道の街の中心街。昭和三十年代の息吹が、というか枯れた空気の残る街並みを見てみましょう。
腹ごなしもしないといけないですしね。
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【関連する過去ブログ】
広島の風景 : 呉線
広島の郊外 : 瀬野
広島の郊外 : 西条
広島の郊外 : 広島空港
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